基本的にビジネスにおける交渉や商品の販売などは相手に対して行動を促すことです。
・自分が提供する商品を買って欲しい!
・自分のことを好きになってもらいたい!
これらの思いを直接声に出して伝えても、なかなか相手は思うように行動してくれません。
突然見知らぬ誰かが現れて、「これ良い商品なので買ってください!」と言っても、全く買う気が起こらないと思います。
恋愛においても同様で、突然「好きです結婚してください!」と言われても、意味が分からない・・・という思いが先行してしまうのと同様です。
相手に行動を促すにはある程度準備が必要で、相手に行動を促すために使われるのが、これからご紹介する4つのテクニックです。
工夫次第で誰でも使えるテクニックです。特に最初にご説明する「返報性の原理」は現代における成功に結び付く重要な考え方の一つですので、ぜひご覧ください。
1.心を揺さぶる4つのテクニック
①返報性の原理
人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くという心理状態。
この「返報性の原理」を利用し、小さな貸しで大きな見返りを得る商業上の手法が広く利用されている。
他人に対して何かを提供することによって、そのお返しが頂けるのではないかという心理トリガーです。
例:スーパーの試食
スーパーで焼きたてのお肉や、美味しいスープを無料で提供されたら、なんとなくそのまま帰ってしまうと申し訳ないなーという気分になってしまいついつい商品を買ってしまうような心理。
例:情報商材の無料提供
株の取引や顧客が増える方法などと銘打った商材一部無料提供することによって、こんな有益な情報をタダで教えてもらえるなら少しくらい商品を買って、貢献してあげてもいいかも・・・と思わせるような心理。
この原理の恐ろしいところは、試供品のお肉が美味しくなくても、情報商材を使った際の効果がなくても、提供してもらったという事実でお返しをしなければいけない気持ちになってしまうというのが返報性の原理の恐ろしさです。
また、商品の質以外だけなく、提供する人のにも左右されないと言われています。嫌いな人からであっても何か提供されれば、お返しした方がいいかなという気分になってしまうということです。
つまり、その商品の質、無料で提供した人の人格に関係なく、お返ししたいという心が働いてしまうということです。
そして、返報性の原理を上手く使えば、小さな貸しで大きな見返りを得ることが可能になるかもしれません。
②一貫性の原理
また、最初は欲しくないと思っていた商品でも試食や無料提供の商品お使い続けてしまうのは、「一貫性の原理」が働いているとも言われています。
人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたい、という心理が働く。
この心理を「一貫性の原理」と呼ぶ。この心理の根底には、一貫性を保つことは社会生活において他者から高い評価を受けるという考え、複雑な要因の絡み合った社会生活での将来的な行動決定においてより簡易に行動を決定することができるなどの要因があるといわれる。(wikipedia)
例:スーパーで試食した後に、商品購入に至る
自分はこの商品を良いものと思って試食をしたので買うのは当然であるという心理状態。
試食や無料提供の商品であれば、最初にその商品を使ったということに対して一貫性を持ちたいという心理から、購入を受け入れてしまうという心理です。
自分自身で、一度その商品は”良いものである”と思ったら、その商品は悪いものであったと思い直すことは難しいということです。
③ローボール・テクニック
「一貫性の原理」を応用したテクニックとして「ローボール・テクニック」(特典除去法)という手法も存在します。
「ローボール・テクニック」という名前は、キャッチボールで、初めは取りやすい高さの低い球筋のボールを投げ、徐々に高い球筋のボールに上げていくと、高い球筋のボールでもキャッチできるようになるという話に由来するそうです。(wikipedia)
例:中古マンションの購入
中古マンションの販売店などで、掲げられている金額が本体の価格のみで諸経費が含まれていないことが購入を決めた後でわかっても、一度購入を決めてしまえば、なかなかキャンセルしようとはなかなか思わないという心理状態。
不動産業をはじめ多くのビジネスで広く「おとり広告」というこの心理を利用した販売テクニックが利用されてきたました。
④ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
「返報性の原理」を応用したテクニックでドア・イン・ザ・フェイス・テクニック(譲歩的依頼法)と呼ばれる手法もあります。
例:高級腕時計を勧められた後に、中級の商品を勧められる
20万円の腕時計を突然勧められると高すぎて買おうという気持ちにならないが、100万円の腕時計を勧められ、相手が譲歩して20万円の時計を進めて来られると、購入したくなる心理。
相手の譲歩に対して、こちらも譲歩した方が良いのではないかという心理状態になってしまうのが、ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックと呼ばれる手法です。
2.現代では詐欺行為は大きな損
①詐欺は長続きしない
悪用しようと思えば詐欺まがいのテクニックどうなってしまいますが、基本的に相手をだまそうと思っている心理状態は自分を孤立させ、結果的に自分が不幸になってしまいます。
または結局これらのテクニックを使ったということを相手に見抜かれれば、自分の信頼を損ないそれ以上相手との良好な関係を築くのが困難になります。
インターネットがなく、SNS がなく、情報が制限されていた時代であれば、商品やサービスを打って対価としてお金をもらうという、その場限りの商売であれば詐欺をして逃げ切ることも可能でしたが、商品やサービスの信用がそのまま、その商売が続くかどうかにかかっています。
現在は一度信用を失ってしまうと回復するのはなかなか難しく、膨大な努力が必要となります。
その信用を可視化したものがブランドであり、大手てなくても信用を得ることによってブランドが構築可能である言われていますので、もしよろしければこちらもご覧ください。【2020年】現代に求められるブランディングとは?4つの重要なメリットと戦略
②返報性の原理の本質
本質的にこれらのテクニックを使うということは、『返報性の原理』を正しく理解して、恐れず相手に与えるということです。
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代によると、ギバー:与える人、マッチャー:損得のバランスを取る人、テイカー:奪う人は次の割合で存在すると言われています。
・ギバー:与える人 25%
・マッチャー:損得のバランスを取る人 56%
・テイカー:奪う人 16%
つまり、多くの人は与える、もしくは損得のバランスをとることが出来る人で、他人と良好な関係を築ける人が81%も存在するということです。
そして成功者の多くはリバーであり、何かを与えられる人です。
自分には与えられるものなど無いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば、現在の SNS でほとんど全ての一が発信するメディアを持っている時代において、発信者の話を真摯に「聞く」という行為はそれだけで大きなギブになります。
返報性の原理でいうのであれば、”こんなに真剣に私の話を聞いてくれたのだから、何かお返しをしたい”という心理状態になるということです。
決して見返りのために行動してはいけません。
心から相手の話を聞くという行為は、少し難易度が高いですが、それでも相手を理解したいという気持ちは伝わるはずですので、自分ができる範囲内でまず相手にできることをする。ということが、
3.まとめ
1.心を揺さぶる4つのテクニック
①返報性の原理
②一貫性の原理
③ローボール・テクニック
④ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
2.現代では詐欺行為は大きな損
①詐欺は長続きしない
②返報性の原理の本質
4.関連文献
以下はこの記事を書くにあたって参考にした著書です。影響力の武器に関しては、様々な記事でも引用される名著ですので、人間の心理についてより深く知りたい方にはオススメです。
①『影響力の武器』
Amazon:レビュー★4.5
内容(「BOOK」データベースより)
セールスマン、募金勧誘者、広告主など承諾誘導のプロの世界に潜入。彼らのテクニックや方略から「承諾」についての人間心理のメカニズムを解明。情報の氾濫する現代生活で、だまされない賢い消費者になると共に、プロの手口から人を説得するやり方を学ぶ。
・本当に影響力が行使されているときはこんなことは意識できない、冷静なときにしっかりと勉強しておく必要がある。
・折に触れれて、何度だって、時間をかけて、読み返したくなる名著だ。
Amaazonレビュー
②GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代
Amazon:レビュー★4.4
内容(「BOOK」データベースより)
「ギブ&テイク」とは、この世の中を形成する当たりまえの原理原則に思える。しかしこれからの時代、その“常識”が果たして通用するのかどうか―著者の問題提起が、アメリカで大論議を巻き起こしている。人間の3つのタイプである、ギバー(人に惜しみなく与える人)、テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)、マッチャー(損得のバランスを考える人)。このそれぞれの特徴と可能性を分析したするどい視点。世界No.1ビジネス・スクール「ペンシルベニア大学ウォートン校」史上最年少終身教授、待望のデビュー作!!
・日頃から自分は見返りを求めないギバーだと思うのであれば、その「ギバー」として生きる道の軌道修正になる本だと思います。
・本書における恐らく最も重要な問いは、「いったい何がお人好しと成功者を分けるのだろうか?」ということ。
Amaazonレビュー